殺戮少年

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その日の夕食。 ネスは来なかった。 ハンバーグだったのに… 皆、心配していた。 だから、僕に様子を見に行くよう、言ったのだと思う。 正直、嫌だったけど、皆が知ってる僕を演じ続ける為に、僕はネスの部屋に向かう。 ―コンコン ネス「誰?」 扉の向こうから力ない声が聞こえてくる。 リュカ「僕ですよ、ネスさん」 ―ガチャ 鍵を閉める音。 …拒絶。 リュカ「ネスさん… 皆さんが心配してますよ。 夕食、食べないんですか?」 何時もの僕を演じる。 ネス「いらない」 リュカ「食べないと体調を崩しますよ」 ネス「…いらない」 リュカ「ネスさん…」 ネス「いらないよ」 徐々に低くなるネスの声。 これ以上は構わない方が良い。 僕は扉の前を離れ、食卓に戻る。 皆には 「調子が悪いみたいです」 と、嘘を吐いた。 変な誤解は避けたいしね。
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