ツバサ

早乙女 翼

俺は、小さい頃から変な子供だったらしい。

例えば……教えてもいない難しい言葉を発したり、歩けるようになってからは、身の回りのことを自分で普通にこなしたり……手はかからなかっただろうが、親はびっくりしっぱなしだったという。

あと、もう一つ、親が驚いたというのが、小さい頃、俺が父さんをみて言った一言だそうだ。

おもちゃを俺に渡した父さんに俺は、

『おうしゃま、もうしわけありましぇん。いただきましゅ』

……と言った。

父は、どうしたらいいのか分からず固まったという。

――小さい頃の俺は、前世と現在の区別がつかず、よく訳の分からないことを言っていたようだ。