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廊下に出ると、そこにはファイが居た。
「また姫様の我が儘か……」
ファイは、長い黒髪を振り払う。
「聞いていたのか?」
「ああ」
「すまないが、また明日……」
「分かっている。戦闘指導だろう?」
さすが、ファイ。察しがいい。
「ああ。頼……」
――ばさっ
姫が走って来て、俺に抱き着いた。
「姫様。廊下は走らないようにと何回言ったら分かるのですか?」
ファイが怒って姫を睨みつけた。
「べーー」
姫は、ファイにあっかんべーーをすると、俺の方を向いて、
「ルイス、明日は一緒に行ってくださいますの?」
と聞いて来た。
「ええ。
しかし、たまには、ファイを連れて行って下さいよ。
おかげで、俺は騎士の指導が出来ないじゃありませんか」
「嫌よ!! こんな小姑みたいな奴」
……ぷっ。ファイが小姑。確かに。
「こ……小姑だと?」
ファイ……額の血管浮き出てるぞ。
しかも、かなり人相が悪い。
「そうですわ。
ファイは昔から、あれをしろ、これをしろと煩いのです」
「それは、姫様のためを思ってのことですよ……それに、団長を一人占めされては私の仕事が増えて仕方ありません」
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