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ファイと別れた後、俺たちは城下町に出て、姫の買い物に付き合った。
城に帰って来た後、俺は自室に帰ろうとしたのだが、引き止められ、姫の部屋に来ていた。
「ミラ、俺、ちょっと騎士団にも顔出したいからもう帰るぞ」
「嫌。もう少しここに居て」
…………。
椅子に座っていた俺に、ミラが抱きついてきた。
「ミラ?」
……様子がおかしい。
ミラが、俺の長袖を捲くる。
すると、大きな痣が見えた。
「子供の頃、貴方は、私を守るために、この傷を負ったわ」
ミラと俺、そしてファイは幼馴染で、小さい頃からいつも一緒だった。
ある日、3人で城を抜け出して、山へ遊びに行ったことがあった。
そのとき不運にも、狼の群れと出会ってしまい、襲われたミラをかばって、俺は狼に腕を噛まれた。
「あの時は、まだ小さかったからね。ろくに戦えなくて、無様な姿だっ……「いいえ。私を守ってくださった貴方は、すごくカッコ良かったわ。私、あの時、貴方を好きになったの」
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