灯火

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ゆらゆらと揺らめく 和紙に囲まれた灯火 長く息を潜めて その灯かりを映す 線香花火のような 散る間際の一瞬の強さもなく ただただ そよ風にゆらぐ 蝋がゆっくり熔けていく 細やかなゆらめきで 影の形すら 変えていく 僅かに触れた その指先 僅かに 熱が篭る 密やかに 密やかに 和紙の内のように そよ風すらにも揺らぎ 蝋のようにゆっくりと熔け 投影された姿形は 元より変貌して 和紙という囲いの内に 秘められる 密なる恋のような 儚い灯火 ゆらりゆらぎ 落ちるのは 消えゆくのは 何処の内 *
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