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…
……
バンッ!
力強く開かれたドアの振動が壁を伝わり、2ーBのクラス板を揺らす。最早、先生の声で静まり帰っていた教室の雰囲気はそこにはなかった。
そんな状況にした男子生徒は全員に注目を浴びている事すら気にしない、ただ瞳は真っ直ぐで一人だけを写し、行動ははっきりとしていた。
「小室!サボるだけじゃ足りずに授業の妨害までする気か!?」
教師の怒りが言葉に表れ、孝に突き刺さる。だが、全く聞こえてないのか孝は無視。一人の茶髪でポニーテールが魅力的な女子高生の隣で止まり、
「来いよ、逃げるぞ」
そう言った。困惑が隠しきれていない女子高生は口をちょこんと開けていた。孝はそんな態度を気にもせず、女子高生の手首に近い所を掴み、立たせようとする。
「一体何よ!今、授業中―――」
「いいから来いっ、麗」
だが、麗は嫌がり、抵抗を見せた。
「何してのよ、小室ぉっ!」
麗が反抗するのと同時に、やや朱色のツインテールで見た目もクールで知的な女子高生――沙耶が席を立ち、孝に向かって叫ぶ。その横からグレーの短髪で優しいオーラが感じられる――永が表情を強張らせて、孝に向かっていた。
周囲からは孝を馬鹿扱いするような話が充満している。そんな中、黒ぶち眼鏡をかけたやや太りぎみと見られるふっくらした頬を持つ男子生徒は沙耶の様子に目がいっていた。
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