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「麗をどうするつもりだ?孝!」
「……永」
孝の手首を手が揺れるほど掴み眼を細めているのは永。その声は地声ではなく永の表情をありのまま表現した低い声が孝に激突する。
麗は永が自分を助けている様子を目の当たりにして嬉しさという気持ちを盛大に込めて呟き、頬に熱を持っていた。
『……校門前で暴力事件だ、ヤバイぜ』
『それは本当か?』
『あぁ、マジだ
お前にウソ言っても意味ないだろ?』
それでもここまでくると余程の事があった示しているほど気にもしない孝は周囲に声が漏れぬよう永に耳まで口を近付け更に小声で屋上で見た事実を述べた。
麗はその様子をじっと見つめていた。
永は孝と何、話してるのかな?もう、こんな事をするな…って言ってくれてたら……
「……孝、もうこの手を離して。私は――」
「取り敢えず、ここを出る」
独裁者の如く酷いすぎるこの態度。耐えがたくなった麗が身体全体で腕を動かし、強引に孝の手から逃れ怒鳴った。
「ちょっと待って!
ちゃんとした説明しないのについて来いっておかしい!?だいたい孝は――」
パンッ
あんなに騒いでいた教室が一瞬で静まり返った。その現状に一番驚愕しているのは永であり、一番“痛い”思いをしたのは麗だった
。
嫌われるのか……僕は。
だけど、そのままには出来ない、命が関わるなら余計に無理だ。
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