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「いいから言うことを聞け!!!」
孝の怒鳴り声と似て非なる声が再び教室の中がざわめいたのを消し飛ばし木霊する、頬を一部だけ赤い麗の顔も永と同様にただ茫然としていた。
生徒たちの騒ぎ声がこの場に戻る直前に動き出したのは永だ。
「……麗、教室から出よう」
「永が言うなら……いいけど」
まだ納得していない困惑に埋まっている顔の麗は永に肩を押されて教室の外へ誘導されていく。
もちろん、黙って見過ごさないのは先生であり、教室の外に出ていこうとする生徒を止めるべく教壇を降りた。
「どこにいく気だ!まだ授業中だろ!!待て!!」
「………」
「小室!貴様また邪魔をする気かぁ!」
そう言った鬼の形相のような一般の生徒なら怖さを感じさせる雰囲気の教師相手に孝は一歩も引かず堂々と教師を睨んだ。
「なんだぁ、その目付きは。退学にしてやっても構わなんのか?」
「………」
だが追い込まれたのは教師の方だった。孝の鋭い眼孔は教師とは違い、ただどんな相手にも恐怖を与えるものだった。なんの混じりけの無い純粋な恐怖だ。
「ど、どうなっても知らないぞ!勝手にするがいいさ」
「……そうかよ、さよなら。先生」そんな置き土産を残し孝も後を追った。その後ろ姿を感情を持って見ていたのは沙耶だった。
孝……なんで麗にそんなに嫌われているのに構っているわけ?
ここにもっとちゃんと思っている人がいるのに
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