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「あぁ、嘘じゃねぇ……俺は人を殺った。
あのクソ親父のやつ、やたらと自分のシマを広げよう必死でよ。組同士の抗争がない日を数える方が簡単かもな」
本当に亮君は、“あの”亮君は人を殺していたんだ。
変わらない事実が恐怖として襲いくる、それは感情を支配しようとしていたが目の前にいる、亮の体はいつも誰かを庇い傷ついていた。
愛梨菜は亮が想像絶する罪を背負っていることに悲愁していた。
だからこそ話を聞いた愛梨菜は拒絶することなく重く沈んだ呟きを漏らした
それは愛梨菜の想いが恐怖に屈する事なかったからだ。
「初めて……ひ、人を殺す時なんとも思わなかったの?」
全て言い終えた後、瞳と口がピクッと開いたのを両手で押さえた愛梨菜。
こ、これって質問したら駄目な事だよね……どうしよう?
愛梨菜の反応を見ていた亮が珍しく愛梨菜に優しい態度に出た。それは嫌がったり、恐い顔をせず、無邪気に口元を緩めて言った。
「俺がそんなちっちぇ考えしねぇよ……自分の家族を守るので必死でな。後になって怖くなったこともあったが。
俺は護ろうとしてやった事は間違ってるとは思ってねぇ。むしろ
俺の誇りだ。」
話の始まりから脚を止めていた愛梨菜と優斗は過去に囚われない立派な姿をさらけ出した亮を見た。
その姿は二人の気持ちを陽気にさせた
「てめぇらなにそろって笑顔で見てんだ、気持ち悪い。
さっさと行くぞ」
そう言って初めに走り出そうとするが亮は険しい顔となり、その場でじっとしていた。
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