65人が本棚に入れています
本棚に追加
「まーた瑠偉と喧嘩したの?」
「べつに!」
「ほら、言ってごらんなさい。おおかたあんたが悪いんだろうけど!」
「ぅーうるさいょ健三。」
「やぁん!キャンディって呼んでっていつも言ってるでしょ!!」
「健三は健三!健三健三!」
「まぁったく可愛くないわね!これだから瑠偉も大変ねぇ?」
オレは意識を取り戻す間、あの心地のいい声が遠くの方で聞こえていた気がした。
その声が、オレをこの世へ引き戻している。
そんな気がしたんだ。
そして、重く腫れ上がった瞼をゆっくりと開けた。
といっても少ししか開かず、ぼやけて良く見えない。
ここが部屋の中で、オレはソファーの上に寝かされている事だけは分かった。
「っ!」
体中が痛い。
「あら?麗奈、気付いたみたいよ!」
椅子から立ち上がり、オレに近付く人影。
オレのそばまで来たとき、ふわっと香る甘い匂い。
さっきと同じ匂いだ。
安心する…。
。
最初のコメントを投稿しよう!