マリアの微笑

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「まーた瑠偉と喧嘩したの?」 「べつに!」 「ほら、言ってごらんなさい。おおかたあんたが悪いんだろうけど!」 「ぅーうるさいょ健三。」 「やぁん!キャンディって呼んでっていつも言ってるでしょ!!」 「健三は健三!健三健三!」 「まぁったく可愛くないわね!これだから瑠偉も大変ねぇ?」 オレは意識を取り戻す間、あの心地のいい声が遠くの方で聞こえていた気がした。 その声が、オレをこの世へ引き戻している。 そんな気がしたんだ。 そして、重く腫れ上がった瞼をゆっくりと開けた。 といっても少ししか開かず、ぼやけて良く見えない。 ここが部屋の中で、オレはソファーの上に寝かされている事だけは分かった。 「っ!」 体中が痛い。 「あら?麗奈、気付いたみたいよ!」 椅子から立ち上がり、オレに近付く人影。 オレのそばまで来たとき、ふわっと香る甘い匂い。 さっきと同じ匂いだ。 安心する…。 。
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