出会い

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「もしもし?」 「優ちゃん?卒業おめでとう。」 「ありがとう。裕子さんのおかげだよ。」 「ううん。優ちゃんが頑張ったからよ。」 「うん。ありがとう。」 「…。」 「裕子さん?」 「…あのね。夫が海外に住むことになったの。」 「えっ?」 「だからもう会えないわ。マンションは優ちゃんの名義に変えたから、好きに使って。私からの卒業祝い。」 「そ…うなんだ。」 「………優ちゃん……ごめんなさい…。」 ツーツーツー。 電話は一方的に切れた。 ごめんなさい? 会えなくなることが? まぁいっか。家は貰えたんだし。生活費位何とでもなる。 おばさんの相手もしなくて済む、オレは自由になったんだ。 ……自由? オレはいつだって自由だった。 裕子が自由にしてくれてた。 なんだ? 何故か寂しい気持ちになった。 もしかしたら、裕子の姿に母親像を重ねていたのかもしれない。 けど、その気持ちにオレは気付かなかった。 だって母親を知らないんだから…。 。
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