65人が本棚に入れています
本棚に追加
「もしもし?」
「優ちゃん?卒業おめでとう。」
「ありがとう。裕子さんのおかげだよ。」
「ううん。優ちゃんが頑張ったからよ。」
「うん。ありがとう。」
「…。」
「裕子さん?」
「…あのね。夫が海外に住むことになったの。」
「えっ?」
「だからもう会えないわ。マンションは優ちゃんの名義に変えたから、好きに使って。私からの卒業祝い。」
「そ…うなんだ。」
「………優ちゃん……ごめんなさい…。」
ツーツーツー。
電話は一方的に切れた。
ごめんなさい?
会えなくなることが?
まぁいっか。家は貰えたんだし。生活費位何とでもなる。
おばさんの相手もしなくて済む、オレは自由になったんだ。
……自由?
オレはいつだって自由だった。
裕子が自由にしてくれてた。
なんだ?
何故か寂しい気持ちになった。
もしかしたら、裕子の姿に母親像を重ねていたのかもしれない。
けど、その気持ちにオレは気付かなかった。
だって母親を知らないんだから…。
。
最初のコメントを投稿しよう!