天涯孤独な少年と旅人の少女

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―――盗人か?  音は地下室から聞こえる。俺はとっさにそこらへんに置いてあった剣を2つとった。  ……まぁ、2つしかないんだけれども。  慎重に階段を下りて行く、そして音が聞こえる右から二番目のドアにそっと手をかけた。  ここにはもうすぐ来る冬用に腐りにくい食物をおいてある。  干し肉とか、クルミとかな。 ――ギィ……。  気づかれないようにそっとドアをあける。  ……すると。  …………アリアがいた。  ……もっさもっさ。 「まだ食い足りねえのかよぉぉお!!!!」 「は、はいィ!」  なんだこのやりとり。  って、おい、嘘だろ、半分ぐらい食ってるよ。  これ、全部で一ヶ月分だぞ。  …………こ、この量は……、  ……もう怒る気にもならん……。 「あの……もしかして食べちゃダメでしたか?」  少しならいいが、半月分はダメだろ……。 「…………」 「あの……」 「…………はぁ。……もういいから、早く寝ろよ」 「は、はい……。すみません………」  …………とぼとぼと歩いていくアリア。  一応 罪悪感はあるのか。 「あの」  ドアの手前でアリアがこっちを向いて立っている。  猫か、お前は。 「なんだ?」 「明日の朝御飯……期待してます……!」 「やかましいわぁぁあ!!」  ダメだコイツ……。
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