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ザァ――……。
風にあおられた木が音を立てている
…………、何もおかしいところはない。
気のせいだったか?
……………、
「!!」
刹那、金属と金属同士がぶつかり合う音が、静寂な夜の空気へと伝わる。
「何だ、てめえ……」
俺の問いの先には大柄な男と対象的に小柄な少女がいた。
大柄の男は渋い茶色のトレンチコートを身に纏(マト)い、月の光に照らされた黒髪がぎらぎらと輝いている。
その左側に位置する小柄な少女は少し襟元の強調されたスーツを着て、中にはセーターを羽織っていた。金色のショートカットが男とは反対に、月光を優しく反射している。
そして、大柄な男の方はたった今、斧を振りかざしてきたところだ。
日頃の行いが良いおかげで(?)運よく後ろから近づく野郎に気づくことができたが……。
危なかったぜ……。
んで、さっき地下室に行ったときからそのまま持っていた剣をとっさに構え、そして受け止め、今に至るってわけだ。
「む、受け止めた」
と大男。
「あちゃー……、穏便に気絶させてやろうと思ったのに……。なんであんた受け止めんのよ!!」
と逆ギレする少女。
「お前、人襲っておといて、何言ってんだ! 受け止めなきゃ、コブじゃすまなかったぞ!」
ゴルァッ! と憤る俺。
全く、危ない奴らだ。いきなりぶっ叩くなんて、正気か?
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