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その緊迫を先に破ったのはヴェイだった。
「……なあ、イデア」
ヴェイは後ろにいるイデアに話しかける。
「なによ」
「『石』……、使ってもいいか?」
…………『石』?
『石』って石だよな。地面に転がってる。
何かの専門用語か?
「いいんじゃない、あんたのはたいして貴重なヤツじゃないし」
俺の疑問符を尻目に二人は勝手に話を進める。
「そうか……」
ヴェイはなにやら丸い石を取り出した。
「!」
どうやらあれがあいつらの言う『石』らしい。
そして、
「…………」
何やら集中しているご様子。
……チャンスにこしたことはないよな。
やられる前にやる……当然だ。
俺はヴェイへと斬りかかる。
…………、
よし、もらった!
そう思った瞬間だ。
「バイタルストーン『グラビティ』」
大柄なヴェイの低い声が聞こえた。
「なんだ、そ――」
その瞬間、急激に自身の体が重くなる。
呆気なく地面に打ちつけられる俺。
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