危険な二人

6/10

117人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
「おかえり、祐子」 「あ・・ただいま・・」 「じゃあ行こうか」 彼は、繁華街を通り過ぎ、路地へと入っていく。 (いったいどこへ?) 私が不思議に思っていると、一軒の小料理屋風の店の前で立ち止まる。 「ねぇ、ここって?」 私が不安そうに聞くと 「心配いらないよ、ここさ、お袋の友達の店なんだ。よく知ってるんだ。」 植木くんがニッコリ笑う 「ふーん・・そうなの・・」 店に入ると、店のママが 「あら?輝くん、いらっしゃい」と声をかけてきた。 「あ、どうも。また来ちゃった」 彼がおどけて言う。 そして私に小さい声で 「ここなら若い奴はまずこない、安心できるだろ?」と言った。 「え?」 「詮索されてもつまんないだろ?俺たちのこと」 「・・うん・そうだね」 そのあとは、いろんな話をした。 植木くんはやっぱり、喫茶店を再開したいとの思いから、大学の経済学部に入学したことも話してくれた。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加