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「おかえり、祐子」
「あ・・ただいま・・」
「じゃあ行こうか」
彼は、繁華街を通り過ぎ、路地へと入っていく。
(いったいどこへ?)
私が不思議に思っていると、一軒の小料理屋風の店の前で立ち止まる。
「ねぇ、ここって?」
私が不安そうに聞くと
「心配いらないよ、ここさ、お袋の友達の店なんだ。よく知ってるんだ。」
植木くんがニッコリ笑う
「ふーん・・そうなの・・」
店に入ると、店のママが
「あら?輝くん、いらっしゃい」と声をかけてきた。
「あ、どうも。また来ちゃった」
彼がおどけて言う。
そして私に小さい声で
「ここなら若い奴はまずこない、安心できるだろ?」と言った。
「え?」
「詮索されてもつまんないだろ?俺たちのこと」
「・・うん・そうだね」
そのあとは、いろんな話をした。
植木くんはやっぱり、喫茶店を再開したいとの思いから、大学の経済学部に入学したことも話してくれた。
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