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植木くんと手をつないだまま歩き始める。
どんどん、岬のほうへ歩いて行く。
「植木くん、どこへ行くの?」
私は心配になって聞く。
「あぁ、俺んちだ」
「ええっ?な、なんで?」
私は、思わず立ち止まった。
「いけないか?俺、昔取った何とかでさ、いろいろ作ったんだよ。お前さバイト時代、懐かしいだろ?」
植木くんは若干、得意な顔でにっこり笑った。
「へぇ、懐かしいね。お店の食事、評判良かったんだよねぇ」
「そういうこと。一緒に食べようぜ。なっ?いこいこ」
(そうよ、ただそれだけのことじゃない。なんにもあるわけない。大丈夫だよ)
自分にそう言い聞かせて、丘の上の喫茶店に向かってあるきだした。
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