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「…俺、謝らないから。
したいと思ったこと、しただけだし。」
植木くんのほうが先に口を開いた。
「私だって謝ってもらうつもりないから…」
何となく気まずい雰囲気になりかける。
夕日はすっかり沈んでしまったようだ。店の中が薄暗くなった。
「暗くなったな…」
彼が立ち上がり、照明をつける。
私ったら、子供じゃあるまいし…いつまでも黙っていたら拗ねてるみたいじゃない。
「ケーキ、とってもおいしいよ。」
急に私が口を聞いたものだから、植木くんが驚いた様子でこっちを見る。
「そ、そうか?買ってきたヤツだから…どれ」
フォークで大きく切り、口へと放り込む。
「…うん、まぁまぁだな…」
もぐもぐとケーキの味見をしている植木くんの口元にクリームがついている。
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