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「ちょっと、体調でも悪いの?」
朱李が彼を覗き込み、背中をさすろうと手を伸ばした直後、
「しくったあ」
彼の、半泣き状態かそれ以上の、かなり弱々しい声が聞こえてきた。
「は?」
思わず、朱李の口からすっとんきょうな声が漏れた。
彼はガバッと体を起き上がらせ、本当に泣きそうな表情で、
「お、俺は……今時のカッコいい男になりたかっただけなのに!」
本当に情けなさ過ぎる、小さな小さな声で叫んだ。
「…………」
朱李が、ぽかんと口を開いたまま何も言えずにいると、
「お、俺、中学の時までダサくて暗くて友達いなくて、今もいないんだけど、高校生活は楽しく過ごしたいって思って親に無理言って知り合いがいない県外の高校を受けさせてもらって、カッコよくなれるように頑張って雑誌買って服とか研究して揃えたのに、高校入ったら怖そうな人たちに怖がられるし絡まれたりするし、怖くて学校行きたくないけど留年したくないからあんまり休めないし成績悪いし──」
「ちょっとちょっと、とりあえず落ち着きなよ」
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