対面

3/10

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
      屋上へと続く扉の前で。   一人、武臣が佇んでいた。     何度かドアノブに手を触れようと試みるものの、直前でその手を下ろしてしまう。   彼の細い腕にかけられたブレスレット同士がぶつかる音だけが、静かにその場に響いていた。           もう何度目か分からなくなった動作を、もう一度しようと武臣が手を伸ばしかけた直後、     「都筑くん?」     背後から、ややハスキーな、しかしとても澄んだ声が聞こえてきた。     武臣がビクッと肩を震わせて振り返ると、そこには一人の少年の姿があった。     「都筑くんも屋上行きたいのか? 知っとると思うけど、屋上は鍵かかっとって入れんよ?」  
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加