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「まあ、都筑くんあんま学校来てないからねえ。今日は来てたみたいだけど」
「ふーん。……あ」
ゆゆの言葉に相づちを打ち、学生鞄に学習用具をつめていた朱李は、その手を止めて小さく声を上げた。
「どうかしたの?」
「筆箱落としたっぽい」
「うそお。さっきの授業、確か移動だったよね?」
「うん、生物の実験だった。戻ってくる時に落としたのかも……。あたし、生物室の前通ってから帰るわ」
朱李はそう言って、学習用具で膨らんだ学生鞄を肩に掛けながら立ち上がった。
「じゃあね」
「ばいばーい。見つかったら教えてねーっ」
「うん」
ヒラヒラと手を振るゆゆを背に、朱李は教室を出た。
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