439人が本棚に入れています
本棚に追加
少し時は遡り───
ミラルタの王宮の一角では兵士達が一般的に言う「あり得ないこと」に戸惑っていた。
全方位からの攻撃を受けても侵入者が無傷で立っていたからだ
「次はこっちの番でいいよな?倍返しにしてやる」
その顔はまるで、怒りに身を任せた鬼神のような顔であった
右手を振り上げ一言、魔法を唱えた
「敵を焼き尽くせし聖なる火炎………裁け、聖災炎!!」
その瞬間周りにいた兵士達を囲むように一つ、又一つと火柱があがっていく。そしてあっというまに兵士達は閉じ込められた
「まずい!とにかくえん──」
そこまでしか兵士の声は聞こえなかった。
彼らは皆灰になった
───────踊り狂う不死の炎
それがアリスタの通り名である
この世界では魔法の種類が動物に似ている事がある為、動物に例える事がある。
アリスタの能力はフェニックス
死ぬ事の「出来ない」悲しくも無敵の力
「急ぐか。多分こっちだろう。」
アリスタは全速力で王の間を目指した
「こっちに逃げたぞ!!追えー!!」
一方ヴァイスは王宮中の兵士に追われていた。
「ぬあ!!行き止まりか!」
曲がり角を曲がった場所にはただ壁があるだけだった。
「そこまでだ侵入者!!観念しろ!」
いつの間にかヴァイスを追っていた兵士は百を優に越えていた。計算通りに
「今降伏したら命は助けてやる。さあ早く武装をとけ!」
呼び掛けても未だ悠々としている侵入者に兵士はイライラしていた。
「………………なあ」
ヴァイスは兵士に呼び掛け、悪巧みをするような表情で聞いた。
「ヴァイス・ベルガーナって名前に覚えは無いか?」
その問いかけに兵士達の顔は恐怖一色に染まった。
「汝らを神の息吹によって滅する……。響け!!神創壊!!」
ヴァイスは構えたマシェットを横に一振りした。
すると後ろの方から次々と兵士が倒れていく。
それらは皆腰の位置で真っ二つになっていた。
「に、逃げろ!!う、うわぁぁぁぁああ゙!」
骨がゴリゴリと切れる音と共に、百人の兵士は死んだ。
後に残ったのは大量の血と死体の上に座るヴァイスだけだった。
(国王はアリスタがやるから大丈夫だろう……)
彼は友の知らせを待つことにした
最初のコメントを投稿しよう!