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全ての始まりは数ヶ月前。
いつものように、過ぎるだけの毎日。
いつものように、仕事がうまくいかず上司や同僚に馬鹿にされる。
いつものように下を向きながら帰宅しようとしている私。
24歳、女。
使えないOL。
何の為、私は生きているのかしら?
と、言っても正直そんな柄でも無く。
それとは裏腹に普段、部屋では会社にいる自分とは全く違うようなガサツさと、男らしさで生きている。
少なくとも、そこいら辺でちゃらちゃらしているカス男よりは男らしい自信もある。
そんなオレが彼と出会ったのは、凄く陰湿な土砂降りの雨の日だった。
古びたアパート。
住宅街がならぶその一角に。
狭い土地と土地の間に、いかにも無理矢理詰め込みました!と言わんばかりに、隣に隙間を許さず建てられているであろうその建物。築30年を過ぎたそのアパートは見るからにボロかった。
だが。
この〈ワタシ〉こと、〈俺様〉はこんなアパートに住んでいるのだ。
いつものように、腐ってそうな所々ペンキの落ちた鉄の階段を、カン、カン、カンと上がって一番奥。
205号室が俺様の部屋。
ところが。
そこだけはいつもとは違った。
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