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「大変困った事態になりました」
会議が始まって数分後、俺と古泉は部室棟の男子トイレの中にいた。
因みに後から来た方のハルヒは只今部室で朝比奈さんに絶賛セクハラ中だ。
「ついさっき組織の方から連絡があったのですが、どうやら現在、この世界には涼宮ハルヒが二人同時に存在してしまっているようです」
「これもまたハルヒの力のせいだってのか?今度は何を望んでるんだあいつは」
ついこの間俺達は一万五千回も繰り返されてきた夏を突破したばかりだというのに、つくづくあいつは我が儘な奴だ。
「だと良いのですが…」
「何?」
いつもとは違う答えに驚き古泉の顔を見ると、今までに見たことの無いほど深刻な表情をした古泉一樹がそこに居た。
「古泉、これはハルヒの力じゃないのか?こんなことが出来る奴が他にも居るってのか?」
「わかりません。何か……涼宮さんの、あるいは涼宮さんと似た力を持つ何者かの力がこの事態を引き起こした。これだけは確かです」
「あいつと似た力……そんな厄介な奴がまだ居るのか…」
「何を今更。我々の、いえ……あなたのすぐ側に居るではないですか。世界すら改変してしまう程の力の持ち主が」
「長門か……」
確かに長門ならこれくらいのことが出来ても不思議じゃないが、そんなことをして何の得になる?
「とにかく、こちらでも詳しく調査してみます。あなたは出来る限り涼宮さん……そうですね、仮に先に帰ってしまった方の涼宮さんを涼宮さんA、今現在文芸部室に居る涼宮さんを涼宮さんBとしましょうか。あなたは涼宮さんBが涼宮さんAと接触しないようにしてください」
なんだがとてつもなく嫌な予感がするのだが…。
「それはつまり、どういうことだ古泉」
「簡単に説明しますと、涼宮さんBとデート……または、涼宮さんBをあなたの家に泊めていただきたいのです」
「おい古泉?連れ回すまではよしとしよう。だがハルヒをうちに泊める必要は無いと思うが?」
ハルヒをそのまま帰してしまえば二人のハルヒが出会ってしまう。そこまでは理解出来る。だが、別に俺の家じゃなくとも長門の家や朝比奈さんの家に泊めれば良い話だろう。
「そういう訳にもいかないようです。どうやら、事態は我々の予想より遥かに深刻なようですね」
そう言いながら古泉が男子トイレの扉を開けると、そこには長門が立っていた。
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