最後は笑顔で

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「な……な、ななななな!?」 咲貴との電話が終わった高則が、指差している手をプルプル震わせながら叫びをあげた。 その先にいるのはもちろん、顔を赤くしながら見つめ合っている優とつぐみである。 「――た、タカ!? ここここれはそのああのっ!?」 「チッ……邪魔しやがって」 「邪魔しやがって、じゃねえよ!! えぇ、なにどういう事? ものすごく嫌な予感するんですけどちょっと優の半径五メートル以内に入らないでくれますか」 額に青筋を立てて高則はつぐみを睨むも、まったく効果は無かった――が。 「本当におまえはいつもいつも……いい加減空気読みやがれ」 「あ゛ぁ? 空気読めてないのはおまえだろうが暴力女」 「……ここで白黒つけておくか? シロップ漬け野郎」 どうもこの二人には休戦日というものが無いようだ、つぐみは目を据わらせながら高則の方へと体を向けた。 高則も今まで張り詰めていた緊張の糸が吹っ切れたのか、少し嬉しそうにつぐみを待ち構えている。 つぐみの背中を見送りながら優は顔に苦笑いを浮かべた。 「あぁ、また始まっちゃった……」 ――そう、また始まったのだ。 もう終わりだと決心していた人生も、届かないと思っていた恋も、ここ……永遠の眠りにつくはずだった場所から。
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