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「――おまえええええ!!」
体の贓物全てが震えるような孝司の怒号。
それを聞いてもなお、優の体に銃弾を放った男――京は顔色一つ変えない。
「あはは、そんなに喜んでくれるなんて……」
京の言葉は最後まで続かなかった。
「――あああああっ!!」
「ぐぅっ!?」
大きく揺れる視界、頭に襲う衝撃。
倒された瞬間閉じた目を開ける隙もなく、京は襟首をつかまれ無理矢理上半身だけ起こされた。
京が目を開けると、自分に馬乗りになりながら殺意を隠す事無く睨んでくる、少年の友人であり先輩だった男の息子……上杉高則の怒りに満ちた顔が目の前にあった。
「おやおや、随分なご挨拶じゃないですかぁ」
「黙れよクソがああああっ!!」
(いやぁ、僕もやればできるじゃない……)
酷い痛みを感じつつ、自分の行動力に優は珍しく自画自賛していた。
……そうでもしなければ、意識を手放しそうだったからだ。
「ばかやろう……ばかやろう……!」
頭上からつぐみさんの声が聞こえてくる。
僕をそっと降ろし横向きに寝かせてくれた彼女は、背中にできてしまった穴から出る血を必死に手で押さえてくれていた。
銃弾は貫通しないで僕の体の中に残っているようだ。
良かった、つぐみさんに届かなくて。
……けど。
「泣か、ないで……つぐみさん」
「動くな喋るな口を開くな! ……クソッ、血が止まらない……止まれ、止まれよぉ……!」
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