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東山は何か書かれている数枚の紙をデスクの上に出し、左中指で少し擦れた眼鏡の中央を押さえて、二人の方に顔を向けた。
この東山という男は、この学園の教師でも講師でもない。
普段は、部活動以外の時間に、実家の自営業を手伝っている。
ただ、五年前にこの学園を卒業していて、在籍中は男子バレー部に所属していた。
いわば、男子バレー部OBとして、コーチを兼任している。
東山は、二人が入ってきた事を確かめるとデスクの上に置いてある紙をそれぞれに渡しながら、話を切り出した。
「二人共わかっているとは思うが、総体ブロック予選まで日程的に余裕がない」
「そうですよね。いい加減、連携プレイに比重をおいた練習内容に移行したいですからね」
渡された紙に目を落としながら、多田は自分の意見を東山に伝えた。
「おいおい、確かに基礎練習や体力強化の練習ばかりやらされて、フラストレーションが溜まっているからって、そう嫌みを含ませた言い方をするなよ」
苦笑いしながら、東山は手元にある紙を指を差した。
「本題に入るが、そろそろ総合的なチーム練習をする為にも、新入部員の強化も考慮して、チーム練習に参加させようと監督と話し合った」
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