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試合経験ゼロで実績の全く無いマネージャーの美作をこんな大事な試合で、しかもこんな局面で出せるわけが無い。
全員の表情から、誰もがそう感じとれたのは、容易な事だった。
ようやく、東山は立ち上がり、ゆっくりと口を開いた。
「美作、冗談にしては、なかなか面白かったぞ」
「だがな、お前のプレイを見た事も無いのに出すわけいかないのは、わかっているだろ?」
続けざまに東山は言う。
「大体、誰と変わって、どのポジションに入ろうというんだ?」
東山の話に、幕張学園のベンチだけが、時が止まったかの様に重苦しいな空気が包み込んだ。
すると、東山の斜め後ろから、声が聞こえた。
「ポジションはライト。佐々木君と交代しなさい。美作君」
そう言った、か細い声の正体は、幕張学園男子バレー部の顧問でもあり、監督でもある斎藤だった。
この言葉には、さすがの東山も動揺した。
「監督!! どう言うつもりなんですか!? 普段、戦術に関して一切口にしない貴方が……一体何故ですか!?」
激しい口調で、監督である斎藤に詰め寄る東山。
しかし、東山をまるで無視するかの様に、監督は指示を続ける。
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