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「ただし、美作君は、しっかりとウォーミングアップをする事。又、怪我したら大変ですし、いきなりは動けないでしょうからね」
「それと多田君と佐々木君の二人は、こちらに来なさい」
そう言って手招きをし、二人に何やら話しかけている。
一方、この一悶着の中心人物である美作は、既にストレッチを始め出していた。
「なぁ……普段は置物のタヌキみたいな監督が動くなんてただ事じゃないよな?」
この状況は幕張学園のメンバーすら驚きを隠せない出来事だった。
「という事で東山君、美作君は選手としてメンバー登録していますから、アップが完了次第、途中交代するという事で、後はいつも通り宜しく頼みますね」
監督は、そう言うと、東山の返事も待たず、タヌキの置物のように、ベンチの椅子に腰掛けた。
監督の言葉を無視した東山は音を立てて隣の椅子に座った。
その誰が見ても、私は不満ですよと言わんばかりの憮然とした表情を作った東山は、そのまま真っすぐコートの教え子達を眺めていた。
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