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時を遡ること二ヶ月前……
春を告げる桜の花びらが、新しい季節と出会いの訪れを告げるかの様に、ヒラヒラと舞い、辺り一面を正に桜色の絨毯へと姿を変貌させる。
ここ幕張学園においても、新入生がその桜色の絨毯を踏み締め、入学してきた。
この学園のモットーは、在り来りではあるが、文武両道であるらしい。
一応、進学校と呼ばれている私立高校だが、特待生なるスポーツ推薦枠が、この高校にも存在し、毎年、多くの優れた特待生が推薦入学してきていた。
しかし、実際のところ、その恩恵をあやかっているのは、全国大会に出場しているサッカー部やバドミントン部、県内上位を保持している男女バスケ部や女子バレー部といった極限られた一部の部だけであった。
男子バレー部は、特待生が入った事例は無く、今年も例外ではなかった。
それでも、今年は男子バレー部に十二名もの新入部員が入部してきたのは、喜ばしい事であった。
「いやぁ、今年は去年に比べてデカイ奴らが入って来て楽しみだなぁ」
男子バレー部キャプテンの多田は、美作の背中を軽く叩きながら、嬉しそうに言った。
「先輩。それって今の二年生はチビで使えないって言っているのと同じですよ」
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