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一時期、甘くなった、と思った彼が、またビターになってしまいました。
「夕貴くん!一緒に帰ろ!」
「…無理、今日は友達と遊ぶ。悪いけど、誰かと帰って。」
視線すら合わせずに、そう告げて、教室を早足に出て行ってしまったのは。
恋人の、黒川 夕貴くん。
「花純ちゃん、ごめんねー。なんかあいつ、変で。」
そう私、片瀬 花純に謝ってくれたのは、夕貴くんの親友である、弘之(ヒロユキ)くんで。
「ううん、大丈夫!ばいばい、また明日ね!」
「ほんとに、大丈夫?」
「…ちょっと寂しい、かも、なんて。大丈夫だよ。」
弘之くんは、眉をしかめていたけど、大丈夫。
ただ、ちょっと。
ほんの少しだけ、前の一方的な関係に戻ってしまったのが、悲しい。
私、嫌なことした?
私、我が儘になりすぎた?
分からなくて、また悲しい。
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