1.特別に

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「違う…違うのっ…。」 ふるふると頭を横に振る私を 見て恭ちゃんは困ったような 顔をする。 「やっぱり…これでも駄目?」 「違くてっ…!」 うー、と涙を流す私の髪を 恭ちゃんはおそるおそる撫でる。 「違うんだよ…私が悪いの。 子供で独占欲だけ強くてっ 気持ち、コントロール出来ないし 特技もなにもないしっ! 恭ちゃんにあわないのは …私なんだよっ。」 「美鈴…。」 「だからっ…私、のこと 捨てないで!」 泣きながら言うから視界が ぼやける。 そのぼやけた視界の中に 驚いた顔の真面目な格好した 恭ちゃんが映る。 次の瞬間、視界は真っ黒な世界。 微かな温かさ。 「美鈴…落ち着けよ。」 耳元で聞こえる声。 あ。 恭ちゃんに抱きしめられてる。 強く、強く、そして優しく。 .
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