2.酔っ払い姫

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いつの間にか俺達は大学三年生。 同棲を初めて二ヶ月。 俺、坂上 尚樹(サカウエ ナオキ)は 固まっている。 「にゃおき、くぅーん。」 垂れ目がちな目を、とろん、と させて。 顔を真っ赤にして。 呂律の回らない口調で喋る。 そんな、彼女である 篠田 紗穂(シノダ サホ)を見て 俺は固まっている。 「おい…紗穂。 お前、なんだよ、これ。」 回りには転がるサワーの缶。 それを一つとり、紗穂の前で 振る。 紗穂はとろん、とした目で 見てくる。 「紗穂は酒に弱いから こんなに飲むなっつったよな? なにやってんだ。」 ふぅ、とため息をつくと。 紗穂は、へにゃりと笑う。 「んぅーおいひかったぁ。」 くそ。 なんかいつもの三割増しで 可愛いーぞ。 ほだされんなよ、自分。 .
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