2.酔っ払い姫

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「なおき、くん? どこ行っちゃうのー?」 うるうると大きな瞳が潤む。 げっ。 こいつの泣き顔が一番苦手 なんだよな。 慌てて頭を撫でてやる。 「どこにも行っちゃ、やー。」 頭を俺の胸に擦り付ける。 くっそー。 可愛いなぁ! ぎゅう、と紗穂を抱きしめる。 「尚樹くんー、くるひー。 でも、うれしいーよ。」 えへへ、と笑い声が聞こえる。 可愛い。 すっげー可愛いけど。 どーすればいーんだろうか。 紗穂はうとうとしだして、 俺の名前を呼んでいる。 そう考えているとピリリ、と 俺の携帯が鳴った。 紗穂をかかえたまま手を伸ばし 携帯をとる。 「もしもし。」 『あ、もしもし。本庄だけど。』 無駄に色気のある声。 紗穂の幼なじみである 本庄 修吾(ホンジョウ シュウゴ)だ。 .
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