2.酔っ払い姫

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「なんだよ、本庄か…。 俺、今かなり忙しいんだけど。」 『紗穂だろ?』 クスクスと上品な笑い。 『酒飲ましたの、俺なんだ。 今日、坂上がいない間に 美和と家に行ってさ。』 「おまっ…。」 『紗穂、酔うと可愛いだろ?』 美和(ミワ)というのは本庄の 彼女で紗穂の親友。 『昔も父親たちが飲んでるのを 隠れて少し飲んだら紗穂、 酔っ払っちゃって。 修ちゃん、って可愛かったな。』 「…へぇ。」 『妬いた?』 「べ…別に。」 いまだ、笑っている本庄に 少し苛々する。 妬いたよ。 なに紗穂は俺以外にそんな 可愛い姿見せてんだって。 わりーか。 『まぁ眠って起きたら 今度は、怒り上戸が泣き上戸に なってるから。頑張って。』 本庄はそれだけ言うと電話を 切ってしまった。 .
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