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しばらく無言でいると。
恭ちゃんの両脇にいた女の人が
腕を絡ませて、恭ちゃんに
上目使いで聞く。
「恭平くーん、誰、この子?」
「てか恭ちゃん、って可愛い
呼び方ね。
私もそう呼ぼうかしら。」
かーっ、と頭に血が上って。
「だめっ!
私だけの呼び方だもんっ!」
恭ちゃんは初めて口を開く。
「…腕、離せ。」
両脇の女の人は渋々離れる。
さっきまでの無表情を
恭ちゃんは崩し、柔らかくする。
「美鈴、浮気じゃないから。
団体で遊んでて、あいつらが
勝手に連れてきただけ。な?」
ぽん、と頭を撫でられる。
あいつら、って多分後ろにいる
仲間たちのこと。
でも、なんか悔しい。
こんな子供扱い。
私、彼女でしょ?
もっと宥めるように、じゃなくて
悠さんみたいに一生懸命
言い訳してよ。
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