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「恭ちゃんの馬鹿!
絶対、嫌いになってやるっ!」
美鈴はそう捨て台詞をはいて
走っていく。
口を手で覆い、こっそり笑う。
可愛い。
なんだ、嫌いになってやる、って。
あーもー、可愛すぎる。
「おい、恭平っ!」
悠の怒鳴る声で我に返る。
「追い掛けなくて、いーのか?」
「ん?あぁ。
大丈夫、あとで家に行く。」
「だけどよー…。」
「ほら、遊ぶぞ。」
美鈴はきっと拗ねてて、でも
キスをしてやると最後には
照れ臭そうに笑ってくれる。
悠はまだ納得してない顔で
渋々頷いた。
いま思うと、油断してた。
付き合って一年目。
完璧に自分のものだと
思っていた。
だから美鈴の気持ちを深く
考えていなかった。
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