1.特別に

8/23
前へ
/134ページ
次へ
「恭ちゃんの馬鹿! 絶対、嫌いになってやるっ!」 美鈴はそう捨て台詞をはいて 走っていく。 口を手で覆い、こっそり笑う。 可愛い。 なんだ、嫌いになってやる、って。 あーもー、可愛すぎる。 「おい、恭平っ!」 悠の怒鳴る声で我に返る。 「追い掛けなくて、いーのか?」 「ん?あぁ。 大丈夫、あとで家に行く。」 「だけどよー…。」 「ほら、遊ぶぞ。」 美鈴はきっと拗ねてて、でも キスをしてやると最後には 照れ臭そうに笑ってくれる。 悠はまだ納得してない顔で 渋々頷いた。 いま思うと、油断してた。 付き合って一年目。 完璧に自分のものだと 思っていた。 だから美鈴の気持ちを深く 考えていなかった。 .
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4647人が本棚に入れています
本棚に追加