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誰もいない放課後の教室。
あたしは窓から校庭を眺めるのが好き。
ううん…校庭を眺めているんじゃない。
あたしの目に映るのは……憧れの人。
「あっ…打った。
荒木くん…凄い…」
憧れの人、荒木直純(アラキ ナオズミ)。
彼…荒木くんは中学からの同級生で野球部員。
まぁ…同級生と言っても、話したのは皆無に等しいけど…。
中学の頃から野球部のエースで、高校も有名な所からスカウトがあったらしいのに、何故かうちみたいな無名校に来た……うーん……変り者?
野球部員らしい短い髪の毛に、日焼けで小麦色の肌。
肌と対照的な白い歯を見せながら無邪気に笑う荒木くんは、正直モテる。
だけど野球一筋の彼は、ことごとく女の子からの告白を断っている。
それでも我こそはと、近付く女の子はたくさんいる。
到底あたしみたいな地味で目立たない女を彼が見てくれるはずもない。
それでも、見ているだけであたしは幸せだった。
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