弓道部

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「ノーストーラダムース!!」 「なっ……なんだってー!?」 どんな目覚め方だ。美咲と遥の部屋は朝からネタ絶好調。まさに打てば響くというように二人のやり取りは永遠と続く。 「まずいよ、朝食に遅刻するよ美咲」 「そして急いでたら曲がり角で衝突。 食パンくわえて王道のイベントかな」 「フラグ立ったねそれ」 「でも女子寮だよ」 「……」 美咲達は着替えて食堂へ急ぐ。 「あら、おはようございます。 お二人ともお元気ですね」 「非常に仲がよろしいので羨ましいくらいですわ」 「おはよう柊さん」 「おはよっ二人共。 菓織ちゃん、今日は猫コスプレなんだね」 二人が食堂へ向かう途中、柊姉妹と合流した。菓織は猫耳に尻尾、唇からは牙。小物コスプレをしているようだ。さん付けからちゃん付けに、これが精一杯の妥協。 「皆様、おはようございます」 「あっ、花音ちゃんはゆ」 メンバーが揃った。仲良く朝食を済ませて登校する。朝食を食べたすぐ後なので、時間には余裕があった。 「放課後は弓道場に行きましょう」 花音の提案で放課後に弓道場訪問が決定した。昼間に部員を集めなければ。 「そういえば美咲、好きな人とかいるの?」 話題は定番の恋ばな。 「え? ……まあ、ね」 美咲は顔を赤らめた。 「ふうん……誰」 「声違うよ……?」 可愛い声から一転、鋭く突き刺さるような声の遥。 「遥の美咲だもん。 美咲こそ私の運命の人なのよ」 (何ぃ? 確かに貧乳だが形は悪くないはず。 そうなるとここで取られるのは……) (えっ? 私神楽坂さんにいじめられるの好きなのに。 だからいじりやすい猫にしましたのに) (む、ネタ返し可能で私と同じロングだから好みでしたのに。 遥さんに先を越されては) と、周りから重い空気が立ち込める。美咲はその重圧に押し潰されそうになる。
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