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「どうもーこんにちは神楽坂さん」
入寮のため寮に訪れた美咲は目の前の光景に唖然とする。小さな、まるで保育園児のような本当に小さな少女が出迎えてくれた。割烹着に身を包みペこりと頭を下げる少女は言葉を続けた。
「はじめましてですね。
私は女子寮の寮長さんですよ。
寮長さんって呼んで下さいね。
ではお部屋まで案内します」
小さな寮長さんに付いていく美咲。
(本当に寮長さんなの?
普通の女の子じゃない)
「神楽坂さん、女子寮の簡単な説明をしますね。
桜高には校舎近くに男子寮と女子寮が存在します。
男子寮は学園地図で女子寮の正反対に位置しています」
桜高は広い。反対というだけでかなりの距離があるだろう。
「規則としては午前六時から七時までに朝食、午後六時から七時までに夕食を受け取ることができます。
時間外だとご飯抜きですからね。
ちなみにお代わり自由でも残すのは駄目ですよ。
残したらどうなりますかね……ふふふ」
小さな体から大きな漆黒のオーラが発せられ、怪しい笑みで美咲を見上げる。
(目光ってるって。
言ってること冗談じゃないよ!)
美咲は身の危険を感じた。
「生活機具の持ち込みは出来ても化粧品や装飾品は持ち込み禁止ですからね。
食事中のおしゃべりとテレビを見ながらの食事は許しませんよ。
でも日曜午後六時半からの番組は特別に許可します」
先程見せた恐さは何処へ行ったのやら。すぐに頬をピンク色に染めた糸目の可愛らしいのほほんとした表情に戻っている。
「寮長さんこんにちはー」
「はいこんにちはです」
(すれ違う人みんな寮長さんって挨拶してる。
絶対最初受け入れられないよ)
そんなことを考えていると寮長さんは一室の扉の前で立ち止まった。
「着きましたよー」
美咲の部屋に着いたようだ。
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