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「ごめんねあはは。
勝手に見ちゃった……」
美咲の目の前には美咲の荷物が散乱している光景が広がっていた。特にパソコン補助機具の入った箱を悪びれた様子の小さな少女が弄っていた。
壊されたと思った美咲は急いで駆け寄る。
「…………ふぅ」
無事な愛機を見て美咲は安堵する。空気の抜けた風船のようにその場にへたれ込んだ。
「ごめんごめん、私も興味あるからわかるんだ。
あなたが美咲だね。
遥は東條遥(とうじょう はるか)だよ。
同じ一年生だからよろしく」
美咲の脇で元気よく自己紹介した少女遥。お団子二つの黒髪に幼さを残す顔。その見た目は風子、つまりカニを連想させる。
(よくもまあ幼女体型に連続で出会えたものね。
世界は広い、萌え無限大って感じ?
初めて貧乳に共感してくれそうな人だ。
幼女イコール貧乳なのだよ。
カニはその辺気にしないからな~)
よくわからない思想を小さな胸に美咲も立ち上がる。
「よろしくね」
美咲の荷物を整理しながら遥はマシンガントークをおっぱじめる。
「ねぇ美咲、美咲の自己紹介はもう聞いてるよ!
すごいねー憧れちゃう。
実は遥もヲタなんだよ?
一般的な根暗イメージ払拭してるけど。
これからはゲームとか遊びに関しては困らなくなっちゃった。
美咲が来てくれてよかったよ。
ちなみにこの部屋は遥もつい最近来たばっかりでさ。
緊張しなかった?
遥はね、最初……」
疑問文を使用しているのに美咲の返答を許さない勢いで次々と言葉が溢れ出す。美咲は何もできず、いや、返事をしようとしてもタイミングを失うため口をパクパクさせている。
こうして美咲は元気娘遥と出会った。
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