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夕飯前になると、遥はすっかり落ち着いていた。
「じゃあ今度映画行こうよ。
ついでにアキバのメイト行かない?
多分アニメ店長いるよ」
「それいいね遥。
予定空けとく。
楽しみだなー、やっぱりあれだよね?」
「「エクセリオン・バスター!!」」
すっかり意気投合した二人は、部屋を出て食堂へ向かった。
「今日のご飯はA定食ですよ。
お残しはゆるしまへんでぇ」
「ワンッ」
「トクナガさん、そこは"ヘムッ"ですよ。
一度言ってみたかったんですよね」
食堂のカウンターで寮長さんがご飯を並べたお盆を出している。美咲達はそれを受け取り食べる。食べ終わると食器をカウンターへ返す。そして再び長い廊下へ出る。
「あっ」
食堂を出ると美咲達の目の前にはメイド服を着た見覚えある顔。
「柊さん……」
呼ばれたメイドは振り返る。
菓苗だ。
「やほ、一緒の時間だったね」
「え、何々美咲、柊さんと知り合いだったの?
すごいすごい。
紹介してよ」
「?」
メイド服の菓苗は美咲を見ても首を傾げて困った表情をしている。まるで誰だったかと思い出すような仕草だ。
「何惚けてるのよ菓苗。
私だよ?
美咲」
美咲がそう言うとメイド服の菓苗の表情は明るくなった。理解した、という顔だった。
「あら、美咲さんごきげんよう」
メイド服の菓苗が口を開こうとした瞬間、美咲の後ろから声が掛かった。
「……え。
菓苗が二人ー!?」
美咲を呼んだのは初めて会った時と同じ制服の菓苗。
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