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俺、御堂 春は友人に誘われて、家庭教師バイトの研修会にきていた。俺を誘ったのは林 大輝ってやつ。彼とは高校で知り合って、同じ大学に進学した。俺の数少ない友人のひとりだ。
俺は他にもバイトをしているが、大輝がひとりで登録するのは嫌だって駄々をこねるから、こうしてついてきた。まぁ時間も余ってるし、家庭教師には興味があったからいいけど……。
適性検査を兼ねた研修会が終わり、俺たちはふたりとも家庭教師になれることが決定した。
「皆さん、研修お疲れ様でした。早速ですが家庭教師としてすぐに派遣ができそうな案件がある方にはこちらから案内させていただきますので、もう少しその場でお待ちください」
俺たちは東海地区を中心に家庭教師を派遣している『家庭教師のEGood』って会社に登録して、ここから指示された家庭に派遣されることになる。
そんでもって俺と大輝は運よく条件にあう家庭があったみたいで、ふたりとも今週から指導を始めることになった。
「では、御堂君にはこの子を受け持っていただきますね」
「はい」
本部のお姉さんから手渡された指導先の資料に目を通す。
俺が受け持つのは……伊藤 美穂さん、か。
ん? 美穂って、まさかな。
受け取った資料に、仲の良かった幼なじみの名前を見つけた。
しかしすぐに彼女の名字が違うことに気付く。
住んでいる住所も全然違う。
俺は、ちょっとだけ期待していたのかもしれない。
「御堂君、大丈夫そうですか?」
「俺の家の近所ですし、志望校のレベル的にも問題はないと思います」
「そうですか。では、伊藤様のお宅の担当は御堂君で確定ということで、よろしくお願いしますね」
「はい。頑張ります!」
こうして俺の家庭教師バイトがスタートした。
まだこの時の俺は知らなかった。
家庭教師って……。
特に異性を担当することになった家庭教師って──
かなりの確率で、オイシイ思いができるってことを。
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