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Blood tears
遙か遠い世界━━ーー‐‐……‥
それを手に入れると、絶大な力をその身に得る事が出来ると言われる伝説の宝玉『血の涙-ブラッドティア-』を巡り、世界規模の争いが絶え間なく続いていた。
地図にすら載らない小さな村に住む、赤髪の少年 ヴェシア・ラングリッツは、その争いに巻き込まれ両親を失った。
しかし、そこで出逢った男 レノーティス・ディハートに助けられる。
彼にはヴェシアと同い年の妹 リシアが居た。
彼とその妹もヴェシアと同じく、幼い頃に争いで両親を亡くしていた。
彼らは争いのない世界を望み、ただただ平和を願う心優しい人であった。
『平和を望むなら、俺と共に来い。共にくるのなら、俺はお前を必ず守る』
そうレノーティスはヴェシアに言い放った。
戦争で両親を失ったヴェシアにとっては、付いていくには十分な動機だった。
それから時は経ち、ヴェシアはレノーティスから身を守る為、争いを終わらせる為、武術を学んでいた。
ヴェシアとレノーティスの間には、師弟という強い絆が結ばれていた。
三人はいつも、どんな時も一緒だった。
しかし、温かな時間も終わりを告げようとしていた。
『血の涙』の真実を三人は知ってしまったのだ。
それを求める世界の人々の大半は、『血の涙』をどこかに眠る財宝と思っていた。
だが、真実は違った。
『血の涙』は、血印の一族と呼ばれる少数民族の成人を迎えた者の心臓からえぐり出されるものだった━━ー-。
そして、ヴェシアはその民族の生き残りであった。
それを知ったレノーティスは、ヴェシアに牙を剥く。
いや、レノーティスは最初から知っていた。知っていた上でヴェシアを近くにおいた。成人を迎えるその日まで。
レノーティスは最初から平和など望んではいなかった。望んでいたのは、両親を殺した争いある世界への復讐。
それを果たす為にレノーティスは『血の涙』を手にしたいと切望していた。
復讐の事など知りもしなかったリシアは戸惑う━ー‐…。
だが、どんなに願おうとも戦いを避ける事は出来ない。どちらかが命を落とすまで終わらない。
共に過ごした長い歳月ですら、レノーティスの心を満たす事は出来なかった。
『お前を必ず守る。』
そう言ったレノーティスの誓いは破られた。
もう、あの頃に戻ることは出来ない。
この詩は、争いが生む悲しみを忘れないよう後世の者達の為に吟遊詩人が歌った悲劇の詩である━━ー‐……‥。
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