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朝。
それは太陽が生命に一日の始まりを告げるもの。
朝。
それは生命の一日の躍動が始まるもの。
そして、俺にとっては地獄の始まりそのものでもあった…。
「……」
「……」
「……スー…スー……」
「…なんで?」
目が覚めると、見覚えのない天井が…なんて有るはずもなく、全くいつも通りの天井を見ながら目覚めた谷田部淳一。
しかし、そんな淳一の隣にはいつもとは全く違う世界が待ち構えていたのだった。
そう。何故だかわからないのだが、目の前に美女の可愛らしい寝顔があるのだ。
これは一体何なのだろう、俺はまだ夢の中なのだろうか。もし夢だとしたら、俺は相当欲求不満なのだろうな…とりあえず、起きなければ学校に遅刻してしまうな、などと現実逃避を開始数ページで始めてしまう。
そして、ゆっくりと身体を起こし、いつの間にやら開け放たれている窓の方に目をやり、窓から差し込む光に目を細める。
今日も外界は五月晴れのようだ。
それを確認し終えてから、現実に一言。
「…って、なんで千夏さんが俺のベッドに入り込んでるんですか。」
と、隣で今尚気持ちよさそうに寝息を立てている美女にツッコミをいれる。
「ここ、俺の部屋ですよ。分かってるでしょ?というか、千夏さんまた窓から侵入したんですか?止めて下さいよ。不法侵入で警察呼びますよ。」
「…スー…スー…」
「いや、狸寝入りだって事ぐらい分かりますから。」
「…スー…違い…ます…」
完全に起きていると、自ら自白するかのように超絶美女は呟く。
「…スー…これは…寝言…です…」
寝言で寝言ですなんて言う人いないだろ、と心の中で呟く淳一。
その心の声が聞こえたのか、千夏は寝返り(セクシーポーズ)をしながら、一言。
「私は…言う…タイプなんで…す…」
「…いや。言うタイプも言わないタイプも、そもそも人ン家の部屋で寝息を立ててそんな寝言言いながらセクシーポーズ取ってるとか有り得ないですから」
と、自称寝言で寝言ですというタイプの人にそう告げる。
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