それ

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「どこ行くの?」 声が聞こえた。 向き直ると、正面だけでなく、左右にも道が延びており、その道の交わりの中心に、それはいた。 「君は何?」 そう伝えたつもりだった。 しかしその言葉に対する返答は 「どこ行くの?」 あまりにも機械的で、感情がないように見えた。 「君は何?」 もう一度伝えた。 「どこ行くの?」 またしても同じ返し。 一体なんだろう。 どうしたらいいのだろう。 目の前のそれはどこか寂しそうに見えた。 そしてまっすぐこちらを向いている。 風は今も穏やかに吹いている。
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