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学校が終わってすぐ、俺は朝リナが滲んで見えた場所に走った。
時刻は四時半。
そこは小さな、人気の無い公園だった。
ブランコは朽ちかけ、鉄棒も赤い錆びがカビのように張り付いている。
走って切れた息を整えながら、俺はその誰もいない公園を見ていた。
何故?
そんな何も無い公園を見て何になるのか。
しかし、俺は何か引っかかって、一刻も早くここに来なければいけないような気がしたのだ。
リナがいなくなってしまうような、そんなわけのわからない不安がここから生まれた気がしてならないのだ。
根拠も何も無い。
しかし、何か見落としているようなそんな違和感が。
その時、俺は我が目を疑った。
さっきまでそこには誰もいなかった。
しかし今ははっきり見えている。
朽ちかけのブランコに腰かけた少女。
白いワンピース、腰まである金髪。
そしてまるで人形のように整った顔立ち。
憂鬱の赤い瞳。
その少女と今、目が合った。
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