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その瞬間、俺はレオを見失った。
赤い炎の残像しか見えなかったのだ。
とてつもなく速かった。
レオは一瞬で20メートル程の鳥頭との間合いを一気に詰めたのだ。
そこからは一方的だった。
驚いたのだろう、鳥頭はほとんどの手を槍に変えレオに襲いかかった。
しかし、そのどれも赤い膜、いわばバリアを貫けなかった。
レオは一瞬相手に攻撃する隙を与えたように見えた。
おそらく一切の術を失った鳥頭は絶望しただろう。
そしてレオは真っ赤に燃え上がった腕を構え、薙いだ。
深紅の一閃が鳥頭に襲いかかる。
「ぐぎゃあああああ」
絶叫。
鳥頭の頭の前半分が割れ、中の脳のようなものが見えた。
血は出ないのだがその脳が飛び出していたり、ひどく気味が悪かった。
「ひにたくなひ……ひにひゃくなひ」
呂律も回っていなかった。
化けものと言えど、何だか胸が痛んだ。
「ひゃふけて、ひゃふ……」
ニ撃目に鳥頭は4つに割れ、もう声をだすことも無く、空間にキラキラと消えていった。
俺は何だか放心していた。
あまりに壮絶過ぎたのだ。
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