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「一件落着ね。これであの娘も助かるわね」
レオは腰に手を当て俺を見て笑った。
「え?あ、あぁ」
レオは本当に何事もなかったかのように見える。
俺は内心少しレオが怖くなっていた。
レオが倒したのは化け物。
化け物、だけどあんな残酷に。
「ねえ、あの娘のこと見に行く?」
「え?ぅわっ!」
俺の体はまたレオのいいように動かされて、一つの窓の前で止まった。
「ここ、彼女の部屋よ」
「え、分かるのか!?」
カーテンで窓の中は見えないのだが。
「ええ。じゃなきゃここにもこれないでしょ」
そうだ、レオはこの広いウコヨキの街でピンポイントで精霊を見つけ出したのだ。
「リナ……」
俺は窓越しに呟いた。
多分、もうリナとは話せないだろう。
俺はレオに自分の魂を差し出したのだ。
もう、俺はリナには会えない。
だけどリナが助かるなら、それでもいい。
小さい頃から、俺はリナに助けてもらってばかりだった。
これはその恩返し。
その時不意にカーテンが開いた。
リナがそこには確かにいた。
「リナ!」
俺は思わず叫んで窓に手をついた。
「無駄よ。今私たちは普通の人間には見えないようにしてあるから」
レオが後ろで言った。
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