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俺はレオという少女とある契約を交わした。
俺の望みは幼なじみのリナの命を救うこと。
その代価というのなら、俺は自分の命だって惜しくはなかった。
そう、何だって惜しくはなかったはずなのだ。
それなのに、今の俺のこの気持ちは何なのだろう。
財布の中身は全て、小さな体してるくせに底知れないレオの胃袋に消え、ついでに俺のベッドも占領された。
つまりはそれがレオの条件だったのだ。
ああ、そうさ、命を取られるよか何倍もマシだろう。
だけど、俺は声を大にして、いや大にしたらまた何か顔に投げられるので、せめて小声でもいいから訴えたい!
「この、アパートの床……冷たい……」
この黒とうとうとした闇の中で聞こえるのは無情にも、小生意気な金髪の寝息だけである。
神様、どうか毛布をもう一枚だけ、僕に下さい。
ベッドがこんなに恋しいなんて初めて思った。
しかし、その日の疲れもあってか、しばらくすると俺の意識は気づかない内に夜に溶けていったのであった。
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