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キス、そう、ちょっとキスくらいなら、きっと裁判官も情状酌量の余地ありと認めてくれるに違いない。
こうして俺は、この穴の無い完璧な理論武装で目の前の天下分け目の決戦に出陣したのである。
まずは息を止め、頭以外の体の一切を動かさないよう気を配りながらじりじりと目標コードkuchibiruとの距離を詰めていく。
そして最後に目を閉じて、そっと、そっと、そしてついに触れた。
触れたのだ!
全国の男子諸君、俺はやったぞ、この長い戦いに勝ったんだ!
いや、これまでに戦死した英霊殿方に敬礼!
脳内でこれらの儀式を済ませ、俺は感無量の想いで目を開けた。
目の前には赤いバリア。
そして、その向こうに軽蔑の瞳。
俺の唇に触れていたのはただのバリアであったわけで、非情なる鉄槌は俺の眉間に放たれた。
めり込む拳。
俺も名誉の戦死を遂げたのであった。
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